「で、結論は?」ともう言わせない!1分で伝わる報告・プレゼンの技術

スキルアップ・思考法

「それで、結論は何なの?」

会議や報告の場で、あなたが一生懸命説明している最中に、上司やクライアントからこの一言を浴びせられ、頭が真っ白になった経験はありませんか?

冷や汗が流れ、準備してきた内容が飛んでしまう。そんな悔しい思いを、多くのビジネスパーソンが一度は経験しているのではないでしょうか。

ご安心ください。その悩みは、今日この場で解決できます。実は、あなたの話が伝わらないのは、能力や熱意が足りないからではありません。単に「伝え方の型」を知らないだけなのです。

この記事では、あなたの報告やプレゼンを劇的に変える2つのフレームワーク「PREP法」「SDS法」を、具体的な使い方と共にご紹介します。

この技術を身につければ、あなたはもう「話が長い」「要点がわからない」とは言わせません。どんなに忙しい相手にも1分で意図を伝え、納得させ、「できるビジネスパーソン」としての評価を確立できるでしょう。

なぜ、あなたの話は伝わらないのか?

そもそも、なぜ私たちの話は相手に伝わりにくいのでしょうか。多くの人が無意識にやってしまっている「伝わらない話し方」の典型的なパターンが3つあります。

  1. 時系列で話してしまう: 「昨日の朝、A社に電話したところ担当者が不在で、昼にかけ直したら会議中だと言われ、夕方ようやく捕まりまして…」といった具合に、起こった出来事を順番に話すパターンです。聞き手は「で、結局どうなったの?」とイライラしてしまいます。
  2. 自分の言いたいことから話す: 自分が苦労した点や、発見した面白い事実など、自分が話したいことを優先してしまうパターン。相手が知りたい情報とズレているため、自己満足な話だと思われてしまいます。
  3. 情報が整理されていない: 話があちこちに飛び、結局何が重要なのかが分からないパターン。聞き手は頭の中で情報を整理するのに疲れ果ててしまいます。

これらの根本的な原因は、「相手が何を知りたいのか」を無視している点にあります。忙しい上司やクライアントが、あなたの話から真っ先に知りたいこと。それは「結論」「その結論に至った理由」の2つだけなのです。

最強の結論ファースト術「PREP法」

そこで登場するのが、あなたの評価を爆上げする最強のフレームワーク「PREP(プレップ)法」です。これは、特に上司への報告など、簡潔さが求められる場面で絶大な威力を発揮します。

PREP法は、以下の4つの要素の頭文字から名付けられました。

  • P = Point(結論): まず、話の結論・要点を述べます。
  • R = Reason(理由): なぜその結論に至ったのか、理由を説明します。
  • E = Example(具体例): 結論と理由を裏付ける、具体的なデータや事実、事例を挙げます。
  • P = Point(結論の再確認): 最後にもう一度、結論を繰り返して話を締めくくります。

この順番で話すだけで、聞き手はストレスなく、あなたの話の核心を理解できます。

PREP法の具体例:プロジェクトの進捗報告

例えば、あなたが担当するプロジェクトの納期に遅れが出そうな場合、どのように報告しますか?

【悪い例:時系列で話す】
「〇〇プロジェクトの件ですが、昨日A社に連絡したところ、担当者不在でして…。夕方再度連絡したら、部品の出荷でシステムトラブルがあったらしく、復旧の目処が…」
これでは上司は「だから何なんだ!」と遮りたくなりますよね。

【良い例:PREP法で話す】
「〇〇プロジェクトの進捗についてご報告します。

【P:結論】
結論から申し上げますと、納期を1日延長させていただきたく、ご相談に参りました。

【R:理由】
部品を供給いただいているA社で、システムトラブルが発生し、部品の納入が遅れているためです。

【E:具体例】
昨日A社の担当者に確認したところ、出荷システムが停止しており、復旧は最速で明日の見込みとのことです。そのため、本日予定していた組み立て作業に着手できません。

【P:結論の再確認】
つきましては、現状から1日の納期遅延は避けられない状況です。代替案も検討しましたが、品質を担保できないため、1日納期を延長させていただけますでしょうか。」

いかがでしょうか。後者の報告は、わずか1分足らずで状況と要望が明確に伝わります。上司はすぐに状況を理解し、「わかった、クライアントへの説明はこちらで調整しよう」と、次のアクションに進むことができるのです。

聞き手を惹きつけるストーリーテリング「SDS法」

PREP法が「報告」の最強ツールなら、「SDS(エスディーエス)法」は「プレゼン」や「少し長めの説明」で聞き手の心を掴むためのフレームワークです。

SDS法は、以下の3つの要素で構成されます。

  • S = Summary(概要): まず、話の全体像や要約を伝えます。「本日は〇〇についてお話しします。ポイントは3つです」といった形です。
  • D = Details(詳細): 次に、概要で示した各ポイントについて、具体的な内容を詳しく説明します。
  • S = Summary(まとめ): 最後に、もう一度全体の要約を繰り返し、「本日お伝えしたかったのは〇〇ということです」と締めくくります。

SDS法の目的は、聞き手の頭の中に「話の地図」を描かせることです。最初に全体像を示すことで、聞き手は「これからこういう話が始まるんだな」と心の準備ができ、安心して詳細な説明に耳を傾けることができます。

SDS法の具体例:新サービスの社内プレゼン

【良い例:SDS法で話す】

【S:概要】
「本日は、若手ビジネスパーソンをターゲットにした新学習サービス『Quick Skill』についてご提案します。このサービスは、『スキマ時間』『体系的な知識』『手頃な価格』という3つの強みで、市場のニーズに応えるものです。」

【D:詳細】
「それでは、3つの強みについて具体的にご説明します。
第一に『スキマ時間』についてです。1コンテンツを5分で視聴できるよう設計しており…。
第二に『体系的な知識』です。〇〇大学の〇〇教授監修のもと…。
第三に『手頃な価格』です。サブスクリプションモデルを採用し、月額…。」

【S:まとめ】
「まとめますと、この『Quick Skill』は、忙しい若手ビジネスパーソンが、スキマ時間を使って、手頃な価格で体系的な知識を学べる画期的なサービスです。このサービスで、新たな顧客層を開拓できると確信しております。」

このようにSDS法を使うことで、聞き手は話の構造を理解しやすくなり、内容が記憶に定着しやすくなります。

PREP法とSDS法、どう使い分ける?

ここまで2つのフレームワークを紹介しましたが、どのように使い分ければ良いのでしょうか。答えはシンプルです。

  • PREP法 → 簡潔な報告・質疑応答・意見表明に
  • 相手が「結論」を急いでいる場面。
  • 例:上司への進捗報告、会議での意見表明、メールの返信など。

  • SDS法 → プレゼン・スピーチ・少し複雑な説明に

  • 相手に全体像を理解してもらった上で、詳細を伝えたい場面。
  • 例:企画提案、セミナー、商品説明会など。

この2つは対立するものではありません。例えば、プレゼン全体はSDS法で構成し、その中の各詳細パートをPREP法で説明する、といった合わせ技も非常に有効です。

「伝わる人」になるための最終仕上げ

フレームワークは強力な武器ですが、それを使いこなすには「マインドセット」も重要です。最後に、あなたのコミュニケーション能力をさらに高めるための3つの心構えをお伝えします。

  1. 相手の時間を奪わない意識を持つ: あなたの報告は、相手の貴重な時間をいただいて行われるものです。「どうすれば最短時間で、相手が求める情報を的確に伝えられるか?」を常に自問自答してください。
  2. 一文を短く、シンプルに: 「〜で、〜して、〜でしたが」と接続詞で文章を繋げるのはやめましょう。一文一義を心がけ、短い文章をテンポよく繋げることで、格段に聞きやすくなります。
  3. 準備が9割と心得る: ぶっつけ本番でうまく話そうとするのは無謀です。話す前に数分で良いので、頭の中でPREP法やSDS法に当てはめて情報を整理する習慣をつけましょう。この一手間が、結果に天と地ほどの差を生みます。

まとめ:小さな一歩が、あなたの未来を変える

今回は、「で、結論は?」ともう言わせないための具体的な技術として、PREP法とSDS法をご紹介しました。

  • 「結論ファースト」を徹底するPREP法(結論 → 理由 → 具体例 → 結論)は、日々の報告業務を劇的に効率化します。
  • 「話の地図」を示すSDS法(概要 → 詳細 → 概要)は、あなたのプレゼンを格段に分かりやすく、説得力のあるものに変えます。

これらのフレームワークは、単なる小手先のテクニックではありません。相手の立場に立ってコミュニケーションを設計するという、ビジネスにおける最も重要な思考法そのものです。

まずは、明日の朝の報告からで構いません。ぜひ、PREP法を意識して使ってみてください。その小さな一歩が、あなたのコミュニケーションを変え、周囲からの評価を高め、ひいてはビジネスキャリア全体を大きく飛躍させるきっかけになるはずです。

あなたの言葉が、意図通りに相手に届き、ビジネスを力強く前進させる武器となることを、心から願っています。

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